産後の骨盤矯正
巷では、骨盤矯正の看板やチラシをよく目にします。
骨盤矯正とはどんなものなのでしょうか?
骨盤について正しい理解をしておきましょう。
解剖学では、骨盤は寛骨、仙骨、尾骨で構成されています。
寛骨は、腸骨、恥骨、坐骨が17歳頃に一体化して1個の寛骨となります。
仙骨は、5個の仙椎が癒合して1個の仙骨となります。
尾骨は、3-6個の尾椎が部分的にあるいは全面的に癒合して尾骨となります。
骨盤が一つになるにはそれぞれの骨を連結しなくてはなりません。
その連結には「恥骨結合」と「仙腸関節」、「仙骨と坐骨をつなぐ靱帯」があります。
(1)恥骨結合は左右の恥骨が向かい合ってできる連結を指します。
恥骨結合は半関節といい、少しだけ動くことができます。
また構造的には線維軟骨関節といい、恥骨間円板というクッションが存在します。
この関節を固定するために、上恥骨靱帯と恥骨弓靱帯で補強しています。

ちなみに妊娠によって胎盤や卵巣から分泌される「リラキシン」は恥骨結合を緩めます。
(2)仙腸関節は仙骨と腸骨の連結を指します。
仙腸関節は平面関節といい、恥骨結合よりさらに少しだけ動きます。
およそ3~5mm動くともいわれています。
構造的には線維軟骨関節といい、滑液を含む関節腔があり、関節運動を滑らかにします。
この関節を固定するために、骨間仙腸靱帯、前仙腸靱帯、後仙腸靱帯でがっちり固定されています。

仙腸関節は体幹の重量を受け、支え、下方に伝達します。
とても負荷の多い関節のため、仙腸関節はあまり動かないように制限されています。
女性では月経周期によって動きの増減があるといわれています。
また妊娠、出産、産後に仙腸関節への負担は増えます。
さらに片足に負担をかけすぎることで、仙腸関節の負担となり、痛める原因にもなります。

(3)仙骨と坐骨をつなぐ靱帯には、仙結節靱帯と仙棘靱帯があります。
上半身からの体重負荷は仙骨の回転によって分散されますが、この回転を支えるのが強力な仙結節靱帯と仙棘靱帯です。

骨盤は思春期になると男女差ができてきます。
その理由はもちろん、女性は妊娠出産、男性は重い体重や肉体労働のためです。
女性の骨盤は、比較的脆弱、広い、横広がりハート状、仙骨は幅広で短く、坐骨結節は外方に向き、恥骨結合の高さは低くなどの特徴があります。

骨盤のイメージはできたでしょうか?
そんな骨盤の役割を考えていきましょう。
1.脊柱に伝えれる体重を支持し、二足直立位では負荷を脊柱から大腿骨に、坐位では負荷を坐骨結節に伝達します。
簡単に言うと、上半身を支え、立っている時は太ももに体重を逃がし、座っている時はお尻の骨に体重を逃がすということです。
2.体幹・下肢の筋肉の付着部
腹筋や大腿四頭筋など多くの筋肉が付着しています。

3.骨盤内臓を容れ、保護します。
女性であれば、直腸、膀胱、尿道、子宮、卵巣が骨盤内にあります。

ここからは妊娠と骨盤の話になります。
妊娠していないときの子宮は「鶏卵大」、卵巣は「親指大」の大きさです。
妊娠によって胎児が成長し、臨月には3000gほどに成長します。
重さは50g程度の子宮も、臨月には1000g、つまり20倍の重さになります。
容積に至っては、100倍ほどとなります。
想像ができませんね。
大人の頭よりも大きくなります。
このように大きくなった子宮と赤ちゃんも骨盤の上に載っている、収まっている状態です。
だからこそ、骨盤は広がらなくてはなりません。
そして成長した赤ちゃんは骨盤の一番下にある産道を通り、誕生してきます。
妊娠前、妊娠していない場合はほんの数mmしか動かない、ほとんど動いていないといってもよいレベルの骨盤ですが、妊娠によってあるホルモンによって骨盤が緩み始めます。
そのホルモンをリラキシンといい、卵巣や胎盤から分泌されます。
このホルモンが恥骨結合に働きかけ、靱帯を緩め、骨盤腔を広げてくれます。
リラキシンはその他の靱帯も緩ませるとも言われていますので、結局は全体的に緩めてしまうのでしょう。
リラキシンは妊娠から出産まで分泌されます。
出産時に骨盤は最大限に緩み、その後、約半年で妊娠前までとはいきませんが、元に近い当たりまで戻ります。
こうして骨盤は再び、強固な構造となります。
ただし、先述しましたが、骨盤はいくつかの骨が合わさったものですので、リラキシンによって不安定になり、さらに産後は骨盤内に赤ちゃんがいないため、空洞となります。
骨盤が緩んでいる状況で、骨盤内は空っぽで、ある程度の重さのある赤ちゃんを抱っこする育児が待っていることを考えると、いかに不安定な環境か想像がつくでしょう。
不安定な骨盤は、半年後に固まり、動かなくなります。
人生において、積極的に人体が骨盤を緩めるタイミングは妊娠中のみとなります。
もし歪んでいる状況で骨盤が固まったらどうなるでしょうか?
・体のバランスが悪くなる
・筋肉が偏る
・内臓の位置が変わる
以前にはなかった肩こりや腰痛が起こる。
肉の付き方が変わるので、パンツがきつい、似合わない。
便秘になった。
生理不順になった。
体重が減らない。
排卵しにくい。
妊娠しにくい。
更年期障害が重い。
などが推測できます。
このような可能性を考えると、産後の骨盤矯正がとても大切なことがわかります。
しかも、期限は産後半年。
育児も大変かと思いますが、未来のことを考えると骨盤矯正をする意義があります。
そこで、どのように骨盤矯正をすべきでしょうか?
実践編です。
・骨盤ベルトをしましょう
・腹筋や太もも、お尻の筋肉を使いましょう
・おむつ替えや沐浴は高いところで行いましょう
・前傾姿勢ばかりは控えましょう
・腹圧を高める動作をしましょう
・体力を回復するために良質な食事を摂りましょう
さらに、プロのところで骨盤調整をしてもらいましょう。
手技で骨盤矯正するのも良いでしょう。
ブロック(カイロプラクティック)を使うのも良いでしょう。
機械を使って骨盤矯正するのも良いでしょう。
ぜひ、産後の方には骨盤矯正をおすすめいたします。
銀のすず